FIFAランキングって、なに?

(※2012年)FIFAワールドカップ盛り上がっていますね.日本代表は残念でしたが・・・
順位や勝敗予想も盛り上がり,判断材料の一つであるFIFAランキング,あれが本当に当てはまるか疑問が挙がることもあり,(1位のスペインは予選で敗退したし)どのように決められているのか調べました.

FIFAランキングのポイント計算方法

今の算出方法は2006年7月12日から適用されている.
ポイントは以下の項目を次式で計算したもので,直近48ヶ月の全ての国際Aマッチが対象である.12ヶ月ずつ4つに区切る.直近の12ヶ月ごとに,上記の国際Aマッチで獲得したポイントの合計を計算し,行った試合数で平均をとる.ただし,5試合以下だった場合は一律で÷5とする.
直近の12ヶ月ごと獲得したポイントの割合は100%,50%,30%,20%とする(つまり直近ほど重要).得られた4つの平均値にこの割合を掛け,合算した数値がランキングポイントとなる.
獲得ポイント=(A) × (B) × (C) × (D) × 100
(A) 勝ち点
勝ち:3点、引き分け:1点、負け:0点とする.ただし,PK戦において勝敗が決した試合に関しては勝ち:2点、負け:1点とする.つまり負けたら(PK以外)問答無用でゼロ!
(B) 重要度
国際Aマッチには4段階の重要度が設定されている.大陸選手権とは,AFCアジアカップ,アフリカネイションズカップ, コパ・アメリカ,CONCACAFゴールドカップ,OFCネイションズカップ,UEFA欧州選手権の6つの大会である.五輪は含まれない.
1.0:親善試合(東アジアサッカー選手権などの小地域選手権もこれに含まれる)
2.5:大陸選手権の予選、FIFAW杯予選
3.0:大陸選手権の本大会、FIFAコンフェデレーションズカップ
4.0:FIFAW杯本大会
(C) 対戦国間の強さ
対戦国の強さはその時点で最新のFIFAランキングが適用される。
1位は 2.00
2位以下は (200 - (相手国のFIFAランク)) / 100 の値
150位以下は 0.50
(D) 大陸連盟間の強さ
対戦国が所属する大陸連盟ごとに以下のような定数(2010年以降)を割り当てる。
UEFA(欧州): 1.0 CONMEBOL(南米): 1.0 CONCACAF(北中米): 0.88 AFC(アジア): 0.86 CAF(アフリカ): 0.86 OFC(オセアニア): 0.85

1999年方式、1993年方式

1999年方式は、1999年から2006年5月までの方式.過去8年間の国際Aマッチが対象であり,1年毎に獲得したポイントを1.0倍、7/8倍、6/8倍、……、1/8倍とし,各年内で高いポイントを稼いだ7試合の数字を採用した.試合の重要度や地域間係数,アウェーでの勝利や試合における得失点などが複雑に加味されていた.強豪国相手の惜敗が弱小国相手の勝利よりも高く評価されることもあった.
問題点は,大陸間の実力格差と実際のランキングのズレを解消できないことであり,たった7試合が対象であるがためにヨーロッパの国がたいてい同じヨーロッパの国と試合をするのも,アジアや北中米の国が年に5試合前後ヨーロッパの国と試合をするのも同じに扱われていた.
1993年方式は、対戦相手のレベルに関係なく勝てば3点,引き分ければ1点のポイントが与えられ,その累積でランキングを決定する至ってシンプルな方法.1998年2月には,W杯アジア最終予選を戦った日本が9位になった.

カーボヴェルデが日本より上位?

強豪国の揃う欧州・南米諸国の相互間の試合全てを計算対象にしたことで,多くのサッカーファンの主観にランキングが合致するようになった.中堅国の実力を示す指標としては以前より不正確になったとされる.新方式では負けは問答無用で0ポイントのため,強豪国ひしめく欧州でやられっぱなしのためにポイントが稼げない国が不当に順位を下げている(サンマリノが最下位タイであることが典型的).
日本が所属するアジアでは,大陸選手権が4年に一度の開催であり,2年に一度開催される北中米カリブ海地域やアフリカに対し,高いポイントを得られる機会が少ない.日本の場合,W杯アジア一次・二次予選が免除されているため尚更ポイントが稼げない.日本が優勝した東アジア杯も親善試合と同じ係数であった.コンフェデレーションズ杯は3倍であったが競合相手に3敗(もし勝っていたらポイントを稼げていた).試合感覚をつけるために積極的に親善試合を開催したことで,皮肉にも平均ポイントは下がってしまった.
アフリカの小国カーボヴェルデ(2014年2月に27位…799pts)が日本を抜いて話題になったが,アフリカネーションズ杯2013で1勝2分,W杯アフリカ予選(一次・二次予選)で稼いだことが要因である.

ブラジルが22位?

サッカーをよく知らない人でもブラジルがサッカー強いことは認識しているであろう.実際W杯も皆勤賞(唯一)であり,優勝回数5回も最多.コパ・アメリカでも直近10大会(1989〜)で5回優勝,コンフェデレーションズカップも出場7回中4回優勝と強さは発揮している.ただしオリンピックではプロ選手の出場が長らく禁止されていたことや,クラブチームを優先する選手がいることから優勝できていない.
圧倒的強さを見せる国であるが,2010年5月以降FIFAランク1位から遠ざかっている.それどころか2013年6月には獲得ポイントが872ptsで22位まで順位を下げてしまっていた.原因としては,FIFAW杯開催国であったため試合優先度2.5のW杯予選が免除されたことがある(不参加).親善試合(試合重要度は1)を組んだとしてもポイントは稼げないためランクが低くなっていた.もっとも,直後のコンフェデレーションカップ(優先度3)で優勝して翌月には9位(1095pts)に急上昇した.

参考文献

FIFAランキング - Wikipedia
FIFAランク通りにならないW杯!ELOレーティングならほぼ当たってる!? - URL
カーボヴェルデ代表が世界ランクで日本を追い抜いた理由 - URL

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