クリスマスとは?

イエス・キリストの降誕(誕生)を祝う祭(降誕を記念する日)であり,12月25日に祝われる.ただし,正教会の一部(ユリウス暦を使用するところ)は,グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝っている.

キリスト教に先立つユダヤ教の暦,ローマ帝国の暦,およびこれらを引き継いだ教会暦では日没を一日の境目としているので,クリスマス・イヴと呼ばれる12月24日夕刻から朝までも,教会暦上はクリスマスと同じ日に数えられる.そのためミサは24日の夜間に行うところが多い.


クリスマスの歴史

古代ヨーロッパではこの日が冬至の日であった.冬至は一年で一番日照時間が短い日であり,この日を境に日照時間が伸びるということで太陽の復活と大地の復活を象徴していた.この時期は各地で祭りが行われていたが,有名なものでは古代ローマ帝国で行われていた農耕の神を祝うサトゥルナリア祭があり,12月17日から一週間ほどが祝日になり,学校が休み・プレゼント交換・一時的な奴隷解放などがあった.そして冬至の日にはナタリス・インウィクティという祭典を開いて大々的に祝っていた.

コンスタンティヌス1世が皇帝になった時代,これまでキリスト教を迫害していたローマ帝国においてミラノ勅令により公認されるようになった.キリスト教がローマ帝国領であったヨーロッパへ浸透するきっかけとなり,冬至の日とイエスの降誕(本来は誕生日ではない)を結び付けることにした.この際に参考にしたのがローマ帝国のミトラ教(ミトラス教)であり,クリスマスとして祝うきっかけになった.

日本でのクリスマスの歴史

日本のクリスマスは,1549年に来日したフランシスコ・ザビエルにより伝来したとされる.長い鎖国のため広まらなかったが,明治時代にキリシタン放還令が出されたのをきっかけにクリスマスの商業宣伝が始まった(1900年(明治33年)の明治屋の銀座進出など).西洋化をすることで国際社会の一員となることを意識できるため,急速に広まった.

1926年(大正15年)12月25日に大正天皇が崩御してから大正天皇祭(12月25日)が設定され,「国民の祝日に関する法律」が施工されるまでクリスマスが祝日となり,習慣化されたとされる.また,1910年(明治43年)に創業した不二家が,1952年(昭和27年)にクリスマスセールを始めたことにより生クリームたっぷりのクリスマスケーキの文化が導入されている.歴史的背景からも,現在の日本のクリスマスは商業的な点が多い.

イギリスのクリスマス

クリスマスパーティは12月に入ってから23日までに行われ,10月中旬ごろから招待状が届き始める.作法に厳しい国のため服装に関しては要注意である.パーティは新しい友人を作るいい機会である.

25日のクリスマス・デーと翌日のボクシング・デーは祝日になっている.ロンドンでは25日には地下鉄,バス,列車など全ての公共交通機関の運行がストップし,キリスト教徒が経営する店も閉店になる(クリスマスに外出するのは教会に行く程度である).そして伝統的に家族と過ごすイベントであり,日本でいうところのお正月と同様にクリスマス・イヴに帰省する人が多い.家族で七面鳥を食べ,プレゼント交換も行うが,プレゼント交換は悩みの種でもある.クリスマスケーキも食べる習慣もあるが,ドライフルーツがたくさん入ったクリスマスプディングを食べるのが特徴である.また日本の年賀状のように季節のご挨拶状としてクリスマスカードを書くが,リスマス・デーの2〜3週間前から投函する人もいてやり取り期間が非常に長く(ただしクリスマス・デーを過ぎるのはNG),受け取ったカードは壁に貼ったり暖炉の上に置いたりして飾りつける.クリスマスカードやクリスマスツリーなどのデコレーションは,新年の1月6日まで飾り付ける.

アメリカのクリスマス

大きく異なるところは基本的に七面鳥を食べる習慣がないところである.七面鳥は11月の第4木曜日にある感謝祭「Thanksgiving Day」で食べるのが一般的になっている.

アメリカでは25日が祝日なため25日に祝う.25日朝に子供達へのプレゼント(日本とは違い大量のプレゼントをクリスマスツリーの足元に置く)を家族一同で開け,豪華なランチもしくはディナーもその後に行い,ローストビーフやローストハムを振る舞うことが多い.イギリスと同様にクリスマスカードのやり取りもあるが,宗教的中立の観点から相手によっては表現に気をつけている.クリスマス精神の一つに「Giving」の考え方があり,チャリティ活動が急増する時期でもある.

中国のクリスマス

中国は仏教や道教が浸透している国のため長らく普及しなかったが,近年では「聖誕祭」として祝うこともある.旧正月や中秋節といった伝統的な休日ではないため家族で集まることは少なく,友人や仲間とプレゼントとパーティで盛り上がる.中国のクリスマスの特徴としては「クリスマスディナー」が挙げられ,レストランはここぞとばかりに値上げして限定メニューを提供するがそれでも予約なしに入れないほどの盛況ぶりとなる.価格設定は下二桁が縁起のよい数字の88元となることが多い.飲食店以外の娯楽施設も繁盛するようである.

韓国のクリスマス

韓国ではキリスト教徒が3割ほどいるため,国民の祝日に定められている.家族同士で祝う人もいれば恋人同士でデートする人もいるなど過ごし方は人それぞれである.年賀状を送る文化がなく,クリスマスカードを送る習慣が根付いているが,携帯電話のメールで済ませる人も増えてきている.クリスマスイルミネーションを残す期間が長いのが特徴で,旧正月頃まで楽しませるところもある.
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